工法紹介
インパクトバリア
概要
急傾斜地崩壊対策、道路・鉄道・林野等の斜面崩壊対策工として、崩壊土砂等の大きな衝撃を吸収できる柔構造の待受け工です。
土砂災害防止法施行に伴い急傾斜地崩壊対策として待受け工を設計する場合、3つの性能が要求されるようになりましたが、インパクトバリアは実物大実験等を実施して設計手法と土石の捕捉に対する性能を確認し、砂防技術として建設技術審査証明を取得した技術です。
近年は都市計画法の規定に基づく特定開発行為の許可等を受ける際、新工法の待受け工を用いる場合の条件として、前記の建設技術審査証明を取得した工法が求められるケースも出てきています。
また、土石等の捕捉実績も年々確認されてきており、保全対象物の防護効果が発揮されています。
- 崩壊土砂の衝撃力(Fsm)に対する安定
- 崩壊土砂の堆積土圧(Fsa)に対する安定
- 崩壊土砂を捕捉できる容量の確保
特徴
全容
従来工法の待受け工であるコンクリート擁壁に比べて下記の利点を有します。
- 地山の改変を小さくできる。
- 工事影響範囲を小さくでき工事の工期を短縮できる。
- 周辺環境や景観への負荷を小さくできる。CO2排出量を著しく小さくできる。
- 土地利用への影響を小さくできる。
構造
急傾斜地崩壊対策として用いる場合、民家の斜面直上に設置されることを前提に、高い安全性が求められます。そのため、幾度にもわたる実物実験を繰り返し、前述の3つの要求性能を満足するよう、設計法・使用部材を決定しました。
それにより、砂防技術として建設技術審査証明を取得しています。
審査の過程では特に構造の安全性にかかる部分が重要であり、その審査のポイントを以下に紹介します。
適用範囲
インパクトバリアの適用範囲は斜面の平均斜度、崩壊深、斜面高等によって計算される崩壊土石の衝撃力が150kN/m2以下の箇所となります。
参考としてポケット幅(インパクトバリア平面斜面の水平部)が1.0mの場合の適用範囲を示します。
構造条件は下記の仕様によります。
- 柵高 3.0~5.5m
- 支柱間隔 8.0m以下
- スパン数 制限なし
崩壊土石と共に落石に対しの捕捉機能が求められることが多いため、実物大実験により850KJの運動エネルギーを有する落石に対して捕捉できることが確認されています。
また、数値解析により、1,100kJの落石が捕捉できることを確認しています。