工法紹介
スノーネット
概要
スノーネットはネット構造の雪崩予防柵として2000年に国内で初めてスイスから導入された工法で、社団法人 雪センターが中心となって構成された『雪崩防止施設新工法検討委員会』において設計手法が確立されました。
その後、長野県白馬村と北海道稚内市において試験施工を行い、雪圧と部材への作用荷重の計測を実施。実際の雪の荷重に耐えうることを確認後、施工性を考慮し、軽量な構造に改良し現在に至っています。
設計手法は,スイスの示方書を基に、日本の設計基準にも適合できる設計法としています。
さらに、落石への対応も求められるケースが出てきたため、最大500kJの落石に耐えうることを実物大実験により確認しています。
特徴
構造
支柱の斜面上方に雪を受ける高強度ネットを配置し、それを支柱とワイヤロープで支持し、最終的にはワイヤロープに接続されたアンカーで雪圧に抵抗する構造です。ネットの配置が支柱の斜面上方にあることが落石防護柵と大きく異なる点です。 スノーネットは下記の部材から構成されます。
- 支柱
鋼管を加工した頭部にはワイヤロープとネットが接続、下端はベースプレートに作用する軸力を効率的に伝搬できるようヒンジ構造としています。 - 高強度ネット
高強度硬鋼線のより線を菱形に編んだネット(スパイダーネット)を使用しています。表面処理は亜鉛・アルミの合金メッキを施しています。 - ベースプレート
支柱との接続部が3次元に作動できるボールジョイントを設けています。地盤の状況に応じて支柱基礎反力体(ルートパイル)を設置できる構造としています。 - ワイヤロープ・アンカー
谷側・山側両方にワイヤロープを使用したアンカー(ワイヤロープアンカー)を設け、頭部をループ状にすることで、作用荷重の方向の変化に対して追従できる構造としています。
用途
- 設置にあたりコンクリートの使用が不要であるため、工事に使用する機械が軽量で施工性に優れ、短期間での施工が可能です。
- 透過性に優れ設置周辺の景観や環境への影響を小さくできます。
適用範囲
- 積雪深5mまでの斜面(斜面・積雪の設計条件により異なる。)
- 落石に対しては500kJまでの運動エネルギーに対応しています。
- 起伏のある地形にも地山の改変をほとんどすることなく、柔軟に設置ができます。