工法紹介
TFバリア
概要
TFバリア(タフフィットバリア:構造物にしっかり設置できる)は山留構造物(ブロック、コンクリート擁壁等)の天端付近に設置できる落石防護柵で、既存落石防護柵の補修・補強や既存山留構造物に落石防護柵を新設する場合等に有効な、これまでになかったタイプの防護柵です。
従来は落石防護柵を補修・補強する場合には、構造物天端に笠上げコンクリートを打設して新しい防護柵の支柱を埋め込む方法が一般的でした。この方法では対応できる落石のエネルギーが限られる(100kJ程度)うえ、構造物の天端に落石防護柵の基礎となるコンクリートを打設することで、構造物全体の安定性が損なわれやすくなります。
そこで、「くの字」型の支柱を用いて、アンカーを山留構造物と直角方向に設ける構造とすることで、簡単に設置できる工法としてTFバリアが開発されました。
特徴
構造
(1)「くの字」型支柱
「くの字」型支柱を用いることで、山留構造物の天端に腰掛けるような形で設置ができます。
(2)反力
反力は山留構造物の背面地盤に支持されるアンカーと地山の付着抵抗により、山留構造物への影響をできる限り小さくしています。
これは、コンクリートブロック積を使用した実物実験で確認されています。
(3)ゴム緩衝材
アンカーに作用する荷重を軽減するため、アンカー頭部にゴム緩衝材を取り付けています。
(4)単純構造
高強度ネットを2重に設置しエネルギー吸収材(ブレーキリング)を端部支柱付近に取り付け、ワイヤロープと間隔保持材で全体を保持するという単純な構造としています。
性能
・実物大実験により、200kJまでの重錘衝突による捕捉性能を確認しています。
・落石対策便覧(H29.12)に規定される実物大実験による性能確認方法に適合した実験を実施しています。(重錘衝突速度は21.5m/s)
施工性
工事中の周辺への影響(保全対象物等)をできるだけ小さくできます。
維持管理
構造が単純であるため、落石・土石等の衝突による部材交換が容易です。
適用範囲
捕捉対象の落石エネルギー | 200kJ |
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設置対象箇所 | ・既存または新設構造物 コンクリート擁壁、ブロック積、コンクリート法枠等 既設防護柵があってもそれを除去することなく設置が可能です。 ・地山 地山に小型の基礎コンクリートを打設することで、設置が可能です。 |
柵構造 | ・支柱高 2.0m~3.0m ・支柱間隔 5.0m~10.0m |