工法紹介
ワイヤネット 砂防学会技術賞・国土技術開発賞
概要
ワイヤネットはワイヤロープとリングネットを用いて、土石流・流木の衝撃力を吸収し、最終的な荷重を反力体(アンカレッジ)で受け持つことで、捕捉する透過型の砂防堰堤です。
従来の不透過型砂防堰堤(コンクリート型)や透過型(構成スリット型)砂防堰堤に比べて、数々の利点を有しています。
また、土石流捕捉により効果を発揮した事例が3例あります。
特徴
構造
吊索により、主索をリング状ネットから分離することで、主索への土石流の直撃を防ぐとともに、吊索には鞘管による摩耗対策を施し、安全性を向上させています。また、土石・流木捕捉面にリング状ネットを使用することで、土石流衝突時の荷重が分散され、部材に作用する力が効率的に伝達されます。
また、シャックルによりネットの着脱ができ、部分的な補修や、土石・流木流捕捉後の除石・除木も簡単に行えるため維持管理が容易です。
ワイヤネットは以下の部材から構成されます。
- アンカレッジ(重力式、深層杭式、アンカー式)
- 主索(ワイヤロープ)
- 吊索(ワイヤロープ)
- リングネット(素線径4.5mm 直径0.3~2.0m)
- ケーブルバンド
利点
従来の剛構造の砂防堰堤と比較して下記の利点があります。
- 設置時の河床掘削が少ないため、流水の汚れや魚類の生息への影響を少なくできます。
- 全面が透過型であるため、構造物背面が透けて見え、景観になじみやすい構造です。
- 構造部材が軽量なため、現地搬入と施工性に優れます。
- 渓流内での施工期間が短く(20日程度)、河床部での作業量が少ないため、施工中の土石流等による災害を少なくでき、作業の安全性が向上します。
ワイヤロープと捕捉面(リングネット)の施工手順