工法紹介
土石流・流木流下防止緊急対策工
通称:強靭ワイヤーネット工
国土強靭化大賞
概要
土石流・流木流下防止緊急対策工は土石流災害直後に人命を守るための緊急的な使用(災害関連緊急対策事業等による砂防堰堤が完成するまでの暫定的な緊急対策)に用いられる工法で、施工期間が短く施工性に優れていることから以下の目的で適用ができます。
- 災害発生後の住民の安全対策、復旧活動の安全対策として2次被害を防ぐ。
- 災害発生後の緊急避難路や避難所の安全対策。
- 災害復旧工事の安全対策。
- 災害発生後の道路、鉄道等公共交通の通行再開に向けた安全対策。
- 火山噴火時~噴火後の安全対策。
構造は土石流工事安全対策として用いられてきたTAMPOバリアを応用したもので、TAMPOバリアの施工実績と土石捕捉実績から、平成26年長野県南木曾村、広島市での土石流災害をきっかけとして災害発生現場への適用が増加してきました。
また、主要部材を備蓄しておくことで、災害発生後、より早い設置が可能となります。
特徴
全容
- 施工期間が短く(最短1ヶ月)資材の現地搬入と設置が容易です。
- 進入路幅が狭い場所でも施工可能です。最小進入路幅 1.5m。
- 本格的な砂防堰堤の工事には用地の確保が必要ですが、本工法を災害直後の暫定的な利用として設置する場合は、施設用地は借地で対応できます。
- 設置完了後、部材の大部分を他の現場へ転用できます。
- 土石流等捕捉後は土石を取り除いた後、部分補修することで継続使用が可能です。
構造
リングネット落石防護柵を応用した構造で、設置対象の渓流等の河床幅や想定される土石流の規模に合わせて設計が可能です。
延長が長くなる場合は土石流捕捉時の変形量(支柱の傾斜角、ワイヤロープのサグ)が大きくなるため、柵を分割して複数段の設置を行います。
また、複数のワイヤロープがアンカーに接続される構造ですが、支柱頭部から上流側に配置しているワイヤロープ(リテイニングロープ)が土石の衝突等により破断しても、柵全体が倒伏しないよう横方向のワイヤロープ(サポ-トロープ)により想定される土石流に対抗できる構造となっています。
設計
土石流流体力・堆砂圧作用時の柵の変形を考慮した力のつり合いにより各部材に作用する荷重を算出します。
部材断面は,許容応力度法により決定する設計手法を採用し、安全率は公的基準、土石流捕捉実験から設定しています。
適用範囲
最大柵高が5.5mで対応可能な場所。